東大阪在住の司馬さんが、「とりあえずは江戸っ子の産地じゃないか」と思い、訪ねることにしたのは本所深川でした。川並(筏師(いかだし))や鳶の頭(かしら)に話を聞き、本所の町家が舞台の「文七(ぶんしち)元結(もつとい)」、この辺りで江戸時代に盛んに行われていた「大山詣(おおやままい)り」、富岡八幡宮が登場する「富久(とみきゅう)」といった古典落語を枕に名所を訪ね歩きます。三遊亭園朝や三代目柳家小さんなど明治時代に活躍した落語家たちに触れたあとには、夏目漱石、芥川龍之介ら明治の文豪たちにまで話が及んでいきます。