書籍
小説
fishy
金原 ひとみ 著
ISBN:9784022517135
定価:1650円(税込)
発売日:2020年9月7日
四六判上製  272ページ 

友愛でも共感でもなく、この刹那に集う女たち。

作家志望のライター美玖、共働きで女性誌の編集をつづける弓子、インテリアデザイナーのユリ。

都内きってのナンパ街となった銀座のコリドーで、三人は互いのプライベートに踏み込まない距離感を保ちながら、この場かぎりの「ともだち」として付き合いをつづけている。

気ままな飲みともだちに見えるが、彼女たちが抱える虚無は、仕事でもプライベートでも、それぞれに深い。

結婚したばかりの男に思いを寄せ、不倫によって日常が一変する美玖。サレ妻となった弓子は、夫の監視に疲弊しながら仕事と家庭と自尊心を守ることに必死だ。ユリの生活はリア充に映るが、まったく不透明で真実を見通すことができない。

愚かしく、狂おしく、密やかに――彼女たちの日常にひそむ罠と闇と微かな光。
女性の生き辛さと新たな連帯をを鮮やかに切りとる著者の到達点。

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【書店員さんからの推薦コメント】

あまりにも赤裸々に綴られた女たちの本音。
危うく際どいトライアングルから見えるのは、容赦ない時の流れと弾けるような魂の叫びだ。
出会い、交わり、離れても寄り添う男と女……その年輪が地層となって物語に刻まれている。
禍福が溶け合うような鮮やかな人生を見せつけ、身も心もうずくような人間ドラマがここにある!
(ブックジャーナリスト 内田剛)

簡単に答えが出ない、でも日々の課題は容赦ない。
立ち止まることも出来ない。あぁ、方程式があったなら!
「彼女たちの苦しみやもがきを通して、女性の生き方を、幸せをもう一度考えてみませんか?」そう問われているように、痛切に感じました。
(蔦屋書店 熊谷店 加藤京子)

三者三様の女の生きざま。圧倒的にハードでした。
強そうにみえて弱く、はかなそうにみえてしたたか。リアルな女性たちでした。
この3人だから深すぎず浅すぎない つきあいが続けていけてると思いました。
もしかして私のこと……?と思わず自分を重ねてしまう方がいるかもしれないけれどこれが令和を生きる女性たちの現実に近いかと思いました。
小説とはわかっていても身近にひそむものばかりでハラハラしました。
(文信堂書店 長岡店 石橋)

ありがちな女の友情物語ではない。うわべだけの気楽なつながりに見えて実は深いところでお互い影響しあっていることに彼女たちはなかなか気づかない、いや気づかないふりをしているのかもしれない。お互いの傷をえぐるような会話が、実は快感になっていることを十分わかっている彼女たち。そんなヒリヒリする感覚は独特で金原ひとみらしい。人はみなあやういバランスをとりながら生きている。そしてなんとかそのバランスをとるために誰かとつながりたいのかもしれない。
(平安堂 長野店 町田佳世子)

私は男だからそう思うのかもしれないが、息苦しい。
でもその息苦しさこそが、きっと一番伝えたいことなのだろう。
作中の場面とは全く違うが、SNSで「いいね」をして共感を得る、もしくは得たいというよりも「me too」と言って繋がっていくような感覚が近いのかもしれない。
(ブックマルシェ 津田沼店  渡邉)

「友愛でも共感でもなく、この刹那を愉しむ」というのが「新たな連帯のかたち」を指すならば、割と昔から皆そんな感じでしょう?
と誰に向けてか問いかけたくなるのですが、「金原ひとみの小説的達成」と言われれば、確かにそのとおりで「女性の生きづらさ」がよりくっきりと浮き彫りになる令和の時代に、この小説は、生きづらい世の中で人生を送る「女たち」への福音となるにちがいない。
(MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店 伊藤樹里)

「fishy」なかなかすごい1冊でした。20代~30代の女性って、こうだった(あぁ、もう過去に)かぁと思いながら、でも三人が三人ともある意味、“fishy”な日々を送っていますね。弓子はそうでもないかなぁと思いながら。
少し過激な日常、恋愛ってこうだったっけ?とか思いながら読みました。
面白かったです。そして、女性同志の友情というか飲み友達というか、はかないものですね~。
(有隣堂 藤沢店 佐伯敦子)

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