昭和には二つの戦争があった。日本を破滅の淵に追い込んだ戦争と、米国に次ぐ経済大国に押し上げた高度成長という「経済戦争」だ。敗北と勝利、結果は正反対だが、二つには数多くの共通点がある。戦後日本が劇的に変化した「あの時代」を、昭和史研究の第一人者が昭和前期の戦争と対比して徹底検証する。1960年の池田勇人「所得倍増計画」から73年の石油危機までの14年間を高度成長期と定義し、豊かさを求めて一直線に突き進んだ日本社会と日本人の変容を明らかにする。くしくも満州事変(1931年9月)から敗戦(1945年8月)までも同じ14年。この間の軍事主導体制と、「経済戦争」を推進した政・官・財組織との意外な因果関係を考察する。一貫して変わらない日本人の国民性とは何か!? 高度経済成長によって日本は、果たして何を得て何を失ったのか!? 日本列島の激動期に迫る渾身作。