【書店員さんからの推薦コメント】
問答無用、規格外の面白さ!
腐敗の源泉、本物のワルを断罪。
この国をダメにした伏魔殿に鋭く果敢に斬り込む筆力は、どんな政争よりも凄まじい!
テーマは超シリアスながらもテンポ最高!ユーモア抜群!
激しすぎる権謀術数の中から人間の本音と素顔が弾けるまさにエンタテイメントの極致!
混迷の時代に相応しい物語だ!
月村了解、恐るべし……
(ブックジャーナリスト 内田剛)
“前代未聞の官僚ピカレスクロマン”のご紹介どおり、前例のないタイプのエンタテインメントで、個人的には十代の頃から親しんできたエスピオナージの流れを汲む物語として愉しませていただきました。
“変人”香良洲の、剃刀の刃の上を歩くような状況も「楽しい」と感じてしまう鋼のメンタルも痛快でしたが、そんな彼も頭を抱える薄田と錐橋議員の恋模様には大いに笑わせてもらいました(しかもこれが伏線だったとは!)。
(ファンには周知のことですが)じつは我らが月村了衛は、ユーモア・喜劇を書いても一級であることが、本作を機にいっそう知れ渡ることを願うばかりです。
そしてなんといっても本作の白眉は、P355の衝撃でしょう。
なぜこの時代設定だったのか、P364貝塚のセリフとあわせ、ようやく本作の真価――いまこそ広く読まれるべき極めて鋭利な物語を理解し、いちファンの勝手な物言いで恐縮ですが、「俺たちの月村了衛が、またやってくれた!」と震えるような興奮を覚えました。
(ときわ書房本店 宇田川拓也)
鴉と狐、狸、貉との騙し合い!
大蔵省中堅官僚・香良洲は、前代未聞のスキャンダルに忙殺されていた。
不甲斐ない同期の頼みを受け、もみ消しに奔走する中、自身の野望を含めとった行動は……
香良洲、上司、政治家、反社会的集団との緊迫のやり取りに引き込まれます。
全員が真っ黒な腹の内でやり取りする中で挟まれる恋愛絡みの丁々発止のやりとりは一種の清涼剤のようでもあり、これが本質で全てが騙されているのではないかというような錯覚さえ陥ります。
また最後に切られるカードは、ジョーカーそのものともいえるべきもので、この国は何も変わっていないんだと暗澹たる気持ちにさせられました。
今、この国はコロナも含め奈落の底に着いたんだ。あとは浮上するだけだと信じたいです。
あの事件をリアルで見ていた世代にはすごく興味をひかれる内容でした。
うかがい知れない超エリート集団の実体をあますことなく暴いている中組織の悲哀も感じられる極上の官僚小説。
(明林堂書店 南宮崎店 河野邦広)
20年近く前に政財官界を揺るがせた実際の事件や実名を織り込むことで、より臨場感のある物語展開にひきこまれた。男社会を描いていながら、なかなか個性的で魅力あるキーウーマンが出てくるところは月村作品の魅力の一つと思います。
そして再び財務省(昔の大蔵省ですね)公文書改ざんが明るみに出た現在を香良洲はどう見る?
(平安堂 長野店 町田佳世子)