「もうほかに人はいない。頼む……鈴木」
昭和天皇の、このひと言から全てが始まった!
太平洋戦争の末期――。本土が焼け野原と化し、沖縄本島に米軍が上陸を開始したというのに、軍部の強硬派は「本土決戦」をいまだ呼号していた。航空機はおろか、武器弾薬さえ満足にない状況で、「根こそぎ動員」をした国民にカマや竹槍を持たせてどう戦えというのか!?
著者は92歳、
監修と解説は昭和史研究の第一人者、保阪正康
最悪の戦況化で昭和天皇は、侍従長経験者の海軍大将・鈴木貫太郎に首相就任を頼んだ。涙を流さんばかりの様子だったという。日本の運命を託そうとしたのだ。この時、貫太郎は77歳。天皇の苦悩を知れば、辞退を続けることはできない。今に至るも歴代最高齢での内閣総理大臣就任となった。鈴木首相は、「戦争継続」をラジオ放送で強く訴え、まずは軍部と国民を欺いた……。
貫太郎の孫娘の著者は、当時、女学生。首相秘書官に転じた父親(貫太郎の長男)、あるいは祖母、母親、孫だけに見せた老首相の素顔を活写する。また、激動の歴史に隠された秘話を公開する。
戦いを始めるは易し、収めるは難(かた)し
戦争を終結させることは、いかに難しいか。21世紀の今も、いや、今だからこそ肝に銘じておきたい真理ではなかろうか。
本書は、祖父も襲撃された「二・二六事件」の日の朝の記憶から始まる。
92歳の著者は覚えている――。4発の凶弾を食らった日の緊迫感を!
【目次から】
序 章 二・二六事件の朝
第一章 祖父の温もり
第二章 鈴木家の人々
第三章 波乱の海軍軍人
第四章 第一次世界大戦始まる
第五章 終戦内閣への動き
第六章 終戦までの百三十一日間
第七章 終戦後の秘話
終 章 消えた銃弾