昭和の時代は3人の首相で総括できる。東条英機、吉田茂、田中角栄だ。では田中は、昭和後期の日本人のどんな姿を映し出しているだろうか。田中とは、何者だったのだろうか。大衆の欲望を充足させ、精神なき物量世界を作り上げた異能宰相の軌跡を、昭和史研究の第一人者が歴史の中に正しく位置づける。解説は、『ロッキード疑獄』の春名幹男氏。
目次
序章 記憶の中の指導者
第一章 戦わざる兵士の原風景
第二章 新世代の登場と挫折
第三章 権謀術数の渦中で
第四章 庶民宰相への道
第五章 田中内閣の歴史的功罪
第六章 落城、そして院政の日々へ
終章 田中政治の終焉とその残像
あとがき
朝日文庫版へのあとがき
『田中角栄の昭和』関連略年表
解説 春名幹男