小説講座の人気講師がセクハラで告発された。
桐野夏生さん激賞
「この痛みは屈辱を伴っているから、
いつまでも癒えることはないのだ」
俵万智さん絶賛
「答えではなく、問いを手渡される。こんなにも迫ってくるのは、
作者が全身で問い続けているからだ」(Xより)
* * *
皮を剥がされた体と心は未だに血を流している。
動物病院の看護師で、物を書くことが好きな九重咲歩は、小説講座の人気講師・月島光一から才能の萌芽を認められ、教室内で特別扱いされていた。しかし月島による咲歩への執着はエスカレートし、肉体関係を迫るほどにまで歪んでいく−−。
7年後、何人もの受講生を作家デビューさせた月島は教え子たちから慕われ、マスコミからも注目を浴びはじめるなか、咲歩はみずからの性被害を告発する決意をする。
なぜセクハラは起きたのか? 家族たちは事件をいかに受け止めるのか? 被害者の傷は癒えることがあるのか? 被害者と加害者、その家族、受講者たち、さらにはメディア、SNSを巻き込みながら、性被害をめぐる当事者たちの生々しい感情と、ハラスメントが生まれる空気を重層的に活写する、いまこそ読むべき問題作。
解説:河合香織(ノンフィクション作家)