ヨーロッパIV
居酒屋、女の一生、人形の家ほか
<文体としての物語>
19世紀のヨーロッパ文学は、フランスを中心に個性的なヒロインを輩出させた。愛の幻想と遍歴、夫婦の亀裂と裏切りなど、運命に翻弄される人間像を通して、女性賛美の名作が綴られる。ボヴァリー夫人(フロベール)、ナナ(ゾラ)、ジャンヌ(『女の一生』モーパッサン)、ノーラ(『人形の家』イプセン)たちの愛の人生をかいま見る。
小説の全盛時代、名高きヒロインたちを生んだのは男性作家のペンだった。/工藤庸子(東京大学教授)
フロベール
「ボヴァリー夫人は私だ」/工藤庸子
百科事典を笑う小説/工藤庸子
作家という小説装置/薄井ゆうじ(作家)
ゾラ
描き出された女の身体/小倉孝誠(東京都立大学助教授)
スキャンダルとしての小説/菅谷憲興(立教大学講師)
<センター>『エンマ・ボヴァリーの最期』/工藤庸子
モーパッサン
水のメランコリー/山田登世子(愛知淑徳大学教授)
イプセン
「女の法」を求めるノーラ/毛利三彌(成城大学教授)
ファーブル
生きた昆虫の発見/奥本大三郎(埼玉大学教授)
出版契約という「戦いの場」/宮下志朗(東京大学教授)
文学小事典
男うた女うた61 歯切れよいこたえ/馬場あき子(歌人)
文学を旅する61 城崎/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集61 人形の家/高橋春男
世紀末パリの怪物たち54 ジュール=アメデ・バルベー・ドールヴィイ/鹿島 茂
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)