ヨーロッパV
ブリキの太鼓、モモ、ベルリン・天使の詩ほか
<東西分断から統一へ>
第二次大戦の凄惨な結末は、ドイツに「東西分断」という深い傷痕を残した。G.グラスの『ブリキの太鼓』は、成長を止めた少年オスカルの目を通して、この「ドイツの戦後」を凝視する。日本でも人気の高いM.エンデのメルヘン(『モモ』『はてしない物語』)は、現代人の社会と経済生活へ厳しい批判を投げかける。戦後ドイツ文学の、苦闘の半世紀をたどる。
第二次大戦で負った深い傷が、戦後ドイツ文学の出発点となった。/初見 基(東京都立大学助教授)
ギュンター・グラス
ナイーヴな反抗の歩み/依岡隆児(徳島大学助教授)
ハインリヒ・ベル
女性的なものを描く/越智和弘(名古屋大学教授)
ミヒャエル・エンデ
非政治的なメルヘンの人気/三島憲一(大阪大学教授)
ノサック
廃墟からの出発/岡田素之(早稲田大学教授)
<センター>アンゼルム・キ-ファーの「戦後」/初見 基
ハントケ
発言が物議を醸す作家/狩野智洋(立教大学講師)
クリスタ・ヴォルフ
東ドイツ知識人の難問/大貫敦子(学習院大学教授)
「もはや不可能な歌」を越えて/藤村晶子(桐朋学園講師)
トーマス・ベルンハルト
戦後オーストラリアとの対決/ヴァルター・ループレヒター(東京都立大学助教授)
壁崩壊後のドイツ文学/初見 基
文学小事典
男うた女うた76 信綱の歌碑の前で/佐佐木幸綱(歌人)
文学を旅する76 熊野/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集76 ブリキの太鼓/高橋春男
書物の歴史をたどる8 『死者の書』/高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)