日本II
「好色一代男、日本永代蔵、世間子息気質」ほか
<上方文学の隆盛>
江戸前期、印刷物による情報伝達のニューメディアが登場する。木活字、製版印刷による版本の大量生産、そして流通網の整備である。この新時代のリーダーは、京・大坂の版元と俳諧師・小説家たちであった。浮世草子『好色一代男』で流行作家の位置を築いた井原西鶴、気質(かたぎ)物と時代物の作品群を生んだ江島其磧ら、上方文学の百花繚乱ぶりを読む。
浮世草子は、情報がすばやく伝わる新時代の申し子だった。/中嶋 隆(早稲田大学教授)
井原西鶴
才能溢れるメディア・プロデューサー/中嶋 隆
井原西鶴
好色本ブームの到来/篠原 進(青山学院大学教授)
井原西鶴
銭ほど面白いものはない/森 耕一(園田学園女子大学教授)
大阪が培った西鶴/藤本義一(作家)
鈴木正三、浅井了意
仏教界から生まれた小説/花田富二夫(大妻女子大学教授)
<センター>京都の遊里・島原の大門口/中嶋 隆
江島其磧
流行作家と版元の確執/小二田誠二(静岡大学助教授)
月尋堂、多田南嶺
匿名作家の活躍/神谷勝広(名古屋文理大学助教授)
「書く」「読む」ことの愉楽/大久保順子(福岡女子大学専任講師)
西沢一風
演劇的しかけに満ちた作風/井上和人(日本芸術振興会特別研究員)
事実と虚構の妙、実録体小説/高橋圭一(大谷女子大学助教授)
文学小事典/広嶋 進(ノートルダム清心女子大学助教授)
男うた女うた85 虚の色の深さ/馬場あき子(歌人)
文学を旅する85 阿蘇山/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集85 好色一代男/高橋春男
書物の歴史をたどる16「百万塔陀羅尼」/高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)