日本III
「舞姫、雁、浮雲、学問のすすめ 小説神髄」ほか
<近代との遭遇>
この号から日本文学の近代編がスタートする。時代は江戸から明治へ。鉄道が延び、教育制度が整備され、人々の地理的・社会的「移動」がさかんになる。自由な息吹に触れた若いエリートたちは、功名心や使命感に燃えて上京し、さらには洋行する。お馴染みの森鴎外、坪内逍遥、二葉亭四迷、福沢諭吉が登場し、わが国近代文学の新しい伝統を打ち立てる。
文明開化による「移動」の時代の到来が、近代文学を可能にした。/高橋 修(共立女子短期大学助教授)
森鴎外
洋行エリートたちの見た夢/出原隆俊(大阪大学教授)
森鴎外
坂の上と坂の下/大石直記(共立女子大学助教授)
福沢諭吉と日本の近代/姜 尚中(東京大学教授)
矢野龍渓、東海散士、末広鉄腸
政治小説から書生小説へ/山本芳明(学習院大学教授)
植木枝盛、中江兆民 民権論の勃興/西田谷 洋(金沢泉丘高校教諭)
<センター>団子坂の菊人形/高橋 修
坪内逍遥
小説の主脳は人情なり/宇佐見 毅(中央大学教授)
『花柳春話』近代文学の知られざる起源/高橋 修
二葉亭四迷
近代小説の出現/猪狩友一(白百合女子大学教授)
仮名垣魯文
人間の普遍性を求める旅/林原純生(神戸大学教授)
『ロビンソン・クルーソー』『月世界旅行』
冒険翻訳小説の流行/私市保彦(武蔵大学教授)
文学小事典
男うた女うた91 草原の月/馬場あき子(歌人)
文学を旅する91 群馬・原町/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集91 舞姫/高橋春男
書物の歴史をたどる21 ネズミ捕りの仕掛け本 高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)