日本III
「金色夜叉、たけくらべ、高野聖、不如帰」ほか
<文学市場の形成>
戦争の後には「文学の季節」がやってくる。日清・日露の過熱した戦地報道で肥大化したメディアに、戦後、主役となって躍り出たのは文学だった。尾崎紅葉は『金色夜叉』を新聞に連載し、徳冨蘆花は『不如帰』で新派悲劇を確立、泉鏡花は『高野聖』『歌行燈』で美と幻想の世界を描き出す。巨大な読者層を獲得し、世の流行までも左右した国民文学の成り立ちを見る。
明治のマルチ・メディアが、「国民文学」を誕生させた。/金子明雄(日本大学教授)
尾崎紅葉
欲望を煽る小説/小平麻衣子(埼玉大学助教授)
尾崎紅葉
小説の生命は文章にあり/関 肇(京都光華女子大学助教授)
国木田独歩
恋しい人の「不在」の風景/五井 信(二松学舎大学講師)
ラフカディオ・ハーン 外国人でも帰化人でもなく/西 成彦(立命館大学教授)
雑誌と「文学」の深い関係/大野亮司(亜細亜大学講師)
<センター>「文芸倶楽部」附録の美人写真双六/金子明雄
樋口一葉
噴出する女性文化/関 礼子(亜細亜大学教授)
北村透谷 無形の牢獄意識/関谷 博(藤女子大学助教授)
幸田露伴
自己本位の生き方/関谷 博
徳冨蘆花
より悲劇的に/石川 巧(山口大学助教授)
泉鏡花
魔界は現世にある/吉田昌志(昭和女子大学短期大学部助教授)
文学小事典
男うた女うた92 帰る場所がない/佐佐木幸綱(歌人)
文学を旅する92 那覇/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集92 たけくらべ/高橋春男
書物の歴史をたどる22 ハート形の愛の詩集 高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)