日本III
「吾輩は猫である、破戒、暗夜行路、野菊の墓」ほか
<個人と国家のはざまで>
西洋のノヴェル(小説)を日本語で書くことは可能だろうか。いよいよ、文豪と呼べる作家たちの登場である。夏目漱石(『吾輩は猫である』『明暗』など)や島崎藤村(『破戒』『夜明け前』など)、志賀直哉(『暗夜行路』など)らの苦闘により、ヨーロッパ近代文学と肩を並べられる重厚な作品が続々と生まれてくる。日本文学の最盛期ともいえる時代の熱気を紹介する。
文学者たちは、「卑しい文士風情」から「市民」へと昇格した。/紅野謙介(日本大学教授)
夏目漱石
吾輩に過去はない/飯田祐子(神戸女学院大学助教授)
夏目漱石と世界資本主義/小森陽一(東京大学教授)
大逆事件と明治天皇の死/紅野謙介
島崎藤村
文学の神話を生きる/紅野謙介
島崎藤村
「災厄」が生んだ芸術/中山弘明(早稲田大学非常勤講師)
<センター>漱石の書斎/紅野謙介
武者小路実篤、有島武郎
「白樺」の実り/宗像和重(早稲田大学教授)
「青鞜」「新しい女」たちの叛乱/久米依子(目白大学助教授)
志賀直哉
「私小説」とは?/大野亮司(亜細亜大学講師)
明治・大正期のメディア・ミックス/吉田司雄(工学院大学助教授)
田山花袋、徳田秋声
自然主義の荘厳/藤森 清(金城学院大学助教授)
伊藤左千夫、中勘助
追憶の季節/森本隆子(静岡大学助教授)
文学小事典
男うた女うた93 人の夜の闇/馬場あき子(歌人)
文学を旅する93 尾道/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集93 吾輩は…である/高橋春男
書物の歴史をたどる23 デジタル化される貴重本 高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)