日本III
「羅生門、宮本武蔵、風立ちぬ、蟹工船、放浪記」ほか
<大衆の時代>
1923年(大正12年)9月1日、関東地方を襲った大地震。この震災からの「帝都復興」の槌音は、大衆文化にも旺盛なエネルギーを注入する。プロレタリア文学、モダニズム文学、探偵小説、時代小説など、新しい感覚とフィールドを持った文学が次々と生まれ、時代と切り結んで読者を拡大していく。芥川龍之介や小林多喜二、堀辰雄、吉川英治らの作品に時代の熱気を感じる。
「帝都復興」とともに新しい文学がいっせいに走り出す。/島村 輝(女子美術大学教授)
芥川龍之介
孤高を生きるか世俗にまみれるか/石割 透(駒澤短期大学教授)
芥川龍之介 「自然」との戦いの末に/高橋博史(白百合女子大学教授)
小林多喜二、中野重治
プロレタリア文学をはみだすもの/島村 輝
林芙美子 『放浪記』の世界/宮内淳子(帝塚山学院大学教授)
横光利一
方法としてのモダニズム/十重田裕一(早稲田大学助教授)
<センター>「新東京百景」/島村 輝
江戸川乱歩
原郷としてのモダン都市/浜田雄介(駿河台大学助教授)
ジャーナリズムの時代/宗像和重(早稲田大学教授)
堀辰雄
愛することと生きること/池内輝雄(筑波大学教授)
中里介山
曼陀羅を体現する小説/紅野謙介(日本大学教授)
吉川英治
求道者、宮本武蔵/縄田一男(文芸評論家)
梶井基次郎 『檸檬』にこめられたもの/鈴木貞美(国際日本文化研究センター教授)
文学小事典
男うた女うた95 中世最後の光芒/馬場あき子(歌人)
文学を旅する95 日向/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集95 大菩薩峠/高橋春男
書物の歴史をたどる25 HUMIプロジェクト/高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)