日本III
「仮面の告白、人間失格、太陽の季節、暗い絵」ほか
<焼け跡から高度成長へ>
戦争に敗れ、国土も社会も荒廃した日本。しかし、その焼け跡に日本文学を担う新しい世代が台頭してくる。野間宏、埴谷雄高、椎名麟三らの「戦後派」をはじめ、太宰治、坂口安吾ら「無頼派」、そして「戦後への反逆児」三島由紀夫の登場である。貧しさと混乱に満ちた時代、人々の知的渇望を満たし、重層的ともいえる豊かな文学世界を実らせた作家たちの素顔を見る。
「戦後派」の作家たちは、混沌のなかから言葉を拾い集め構築していった。/富岡幸一郎(文芸評論家、関東学院女子短期大学助教授)
三島由紀夫
「戦後」への反逆児/富岡幸一郎
三島由紀夫
近代日本の破砕/酒井隆之(文芸評論家)
太宰治
心中に至った文学的営み/小林広一(文芸評論家)
「無頼派」の文学/菊地 薫(関東学院女子短期大学講師)
石原慎太郎
「恐るべき若者」像の先駆/菊田 均(文芸評論家)
<センター>細江英公写真集『薔薇刑』から/富岡幸一郎
野間宏
「戦後派」の栄光と矛盾/紅野謙介(日本大学教授)
学生運動と文学
若者はどこにいたのか/高橋敏夫(早稲田大学教授)
戦後詩と「荒地」/野村喜和夫(詩人)
大岡昇平
出来事を文学として語る/小森陽一(東京大学教授)
埴谷雄高
人間の可能性を問う/白川正芳(文芸評論家)
文学小事典
男うた女うた97 情けのかがやき/馬場あき子(歌人)
文学を旅する97 仙台/小松健一(フォトジャーナリスト)
マンガ 超誤訳・世界文学全集97 人間失格/高橋春男
書物との付き合い史2 中世の大学の講義をのぞく/高宮利行(慶應義塾大学教授)
編集委員
●安 宇 植(桜美林大学国際学部教授)
●池内 紀 (ドイツ文学者)
●池澤夏樹(作家)
●池田 修 (大阪外国語大学教授)
●井波律子(国際日本文化研究センター教授)
●上野洋三(国文学研究資料館教授)
●牛島信明(東京外国語大学教授)
●鹿島 茂 (共立女子大学文芸学部教授)
●樺山紘一(東京大学文学部教授)
●川村 湊(文芸批評家、法政大学第一教養部教授)
●川本三郎(評論家)
●喜志哲雄(京都大学文学部教授)
●沓掛良彦(東京外国語大学教授)
●小森陽一(東京大学教養学部教授)
●佐佐木幸綱(歌人、早稲田大学政経学部教授)
●高山 宏(東京都立大学人文学部教授)
●巽 孝之(慶應義塾大学文学部教授)
●徳田和夫(学習院女子短期大学教授)
●徳永宗雄(京都大学文学部教授)
●沼野充義(東京大学文学部助教授)
●野谷文昭(立教大学大学教育研究部教授)
●三田村雅子(フェリス女学院大学文学部教授)
●宮下志朗(東京大学教養学部教授)
●リービ英雄(作家、法政大学第一教養部教授)
●和田忠彦(神戸市外国語大学教授)