1200円(本体価格)/1320円(税込価格)
ひとは何かを失わなければ成熟した大人になれないのか?
「成熟」による父性の獲得が虚構であることを解き明かし、
「継承」という未来への問いを導く新世紀の本格文芸評論
戦後日本の自画像として江藤淳が設定した「成熟」と「喪失」――
いまなお多くの書き手を惹きつけてやまない問題系について、
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を契機に、
『シン・ゴジラ』から『シン・仮面ライダー』へといたる
庵野秀明の主要作品を読み解きながら、
「これからの日本(人)にとって成熟とは何か」を提起する批評的実践
*
目次
はじめに
序論 「母」の解体と「妻」の捏造――『シン・エヴァンゲリオン』論
1 エヴァンゲリオンと私
2 〈考察〉の空虚な迷宮
3 「成熟」 の年齢
4「人類補完計画」とは何だったのか?
5 カヲルとアスカとミサト
6 マリとは何者か?
7 world without EVA
第一章 エヴァンゲリオンとは何だったのか?
1 庵野秀明の時代?
2 「エヴァンゲリオン」の結末は、あれでよかったのか?
3 『ニッポンの思想』と庵野秀明
4 逃げるは恥だが役に立つ?
5 「成熟」の主題による迷走
6 「大人」の「男」になること
7 エヴァ、始まりの終わりと終わりの終わり
第二章 〈シン〉の構造
1 『シン・ゴジラ』再見
2 加藤典洋の『シン・ゴジラ』論
3 『シン・ウルトラマン』誕生
第三章 庵野秀明は「実写」の夢を見るか
1 「実写」で/を撮るということ
2 「宝石」はけっして手に入らない――『ラブ&ポップ』
3 「二人」になることの病――『式日』
4 「シン」の「第〇作」? ――キューティーハニー』
第四章 「シン」の再生――『シン・仮面ライダー』論
1 暴力論/正義論としての『シン・仮面ライダー』
2 幸福論としての『シン・仮面ライダー』
3 「継承の物語」としての『シン・仮面ライダー』
4 緑川ルリ子とは「何」か?
第五章 江藤淳と 「治者」 のパラドックス
1 『成熟と喪失』 ふたたび
2 加藤典洋の江藤淳
3 上野千鶴子の江藤淳
4 福田和也の江藤淳
5 大塚英志の江藤淳
第六章 庵野秀明と「日本的成熟」
1 「他者」との遭遇
2 「喪失」の喪失と「継承」の獲得
3 庵野秀明の「成熟」
おわりに