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開国後の日本は外国人からさまざまなスポーツを学び、それらは全国津々浦々に普及した。なかでも「走る」ことで国際的舞台への参加・活躍を夢見た近代日本は、やがて世界に例のないかたちの「マラソン大国」となってゆく。参加者1万人超の規模のフルマラソン大会が多数あるのは日本だけ。マラソンをテレビ中継するのも、メディアの利権が絡むのも特異だ。
日本初参加のストックホルム・オリンピックで走った金栗四三、東京オリンピックの銅メダルののち自死した円谷幸吉、その後の瀬古利彦、中山竹通など、日本のマラソンを世界に導いたランナーたちは何を想って走ったのか。いま、日本のマラソンは低迷し、世界のトップ集団から置いていかれる一方で、国内はマラソンブームに沸き、多くの市民ランナーたちが走っている。日本人にとってマラソンとは何か。本書は近代マラソンの歩みを振り返り、時代性、我が国の国際性、スポーツ観を考察する。