函館を起点に道央の旭川までを旅した「北海道の諸道」。道南の函館では『菜の花の沖』の高田屋嘉兵衛、この町で布教活動を続けたロシア正教のニコライ神父の生涯を考える。江差港には、幕府海軍の主力艦で、沈没に榎本武揚が戦意を失った開陽丸が眠る。旅のクライマックスは道東の陸別。『胡蝶の夢』の主人公のひとり、関寛斎の終焉の地でもある。晩年に極寒の地を開拓、深く慕われつつ劇的に生涯を閉じた、今は妻と眠る寛斎への深い思いを滲ませつつ旅は終わる。
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