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歴史
村上春樹のなかの中国
藤井 省三
1200円(本体価格)/1320円(税込価格)
村上春樹は中国の深い影響を受けている。デビュー当初から、村上の作品には中国をめぐる歴史の記憶というテーマが見て取れる。一方、中国語圏も80年代後半から台湾、香港、上海、北京と、時計回りに村上春樹現象が出現した。魯迅からウォン・カーウァイへ、東アジア文化に連なる影響をみつつ、村上文学を探る試み。翻訳比較では各中国語訳を邦訳し読み比べてみる。
朝日選書
時代がつくる「狂気」
芹沢 一也
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
近代は精神病者を「確立」してきた時代。かつては病者は共同体の中で祈祷等での治癒を目指したのに、監察あるいは収容され、また宗教者は精神鑑定の対象になっていった。狐憑きから現代のノイローゼ、心の病、自殺、病者たちの社会参加まで、多様な事例に7人の研究者たちが迫り、犯罪と精神病をめぐって積極的に発言している芹沢一也が総括する。
朝日選書
新聞 資本と経営の昭和史
今西 光男
1400円(本体価格)/1540円(税込価格)
時の政権が対抗勢力として恐れたほど新聞の存在が大きかった時代、朝日新聞の筆政に緒方がいた。筆政とは経営者兼主筆のこと、その緒方時代を中心に、企業としての新聞社、メディアとしての新聞社の実像をたどる。満州事変、二・二六事件、戦争へと向かう緊迫した時代の下で、右翼、軍閥と対峙し、時に資本家と対立し新聞の生き延びる道を模索しつづけた筆政緒方の苦闘を描き、いまもなお新聞社に内在する問題の根源を問い直す。
朝日選書
憲法9条の思想水脈
山室 信一
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
20世紀は戦争の世紀であると同時に、平和を希求した世紀でもあった。第一次大戦後、戦争の違法化という世界の動きに連動するように、日本でも非戦論批判の圧迫を受けながらも、非戦の思想や文学が途切れることなく表れた。平和思想、非戦思想は戦後突然、与えられたものではなく、地下水脈として流れていて、その到達点として今の憲法9条がある。改憲論に論証を持って一石を投じる。第11回司馬遼太郎賞受賞。
朝日選書
国際シンポジウム 溝口健二
山根 貞男
蓮實 重彦
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
ヴェネチア国際映画祭で3年連続受賞を成し遂げた、日本を代表する映画監督の巨匠・溝口健二。小津安二郎、黒澤明と並び、いまなお世界各国の映画監督に影響を与え続ける溝口作品をめぐって、ビクトル・エリセ、ジャ・ジャンクーら海外のパネラーを招き、その新たな魅力を再検証する。日本からは、阿部和重、井口奈己、柳町光男、山崎貴らが参加。巻末に蓮實、山根両氏による書き下ろし溝口論を収録。
朝日選書
植物の生存戦略
「植物の軸と情報」特定領域研究班
1200円(本体価格)/1320円(税込価格)
私たちの身の回りには実にたくさんの種類の植物があるのに、動物である私たちは、動物のほうに気をとられがちだ。植物が動物と一番違うのは、動けないこと。でも、植物と動物は地球上で、同じように繁栄している。植物は、「動けない」のではなく、「動かない」生き方を選んで成功したのだ。たとえば、環境を変えるのではなく環境に合わせて体の大きさや形を変えるなど、動かない植物の合理的な生存戦略を紹介する。
朝日選書
源氏物語の時代
山本 淳子
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
『源氏物語』が生まれた一条天皇の時代は、紫式部、清少納言、安倍晴明など、平安朝ではおなじみのスターが活躍した時代。「叡哲聡明の帝」といわれた一条天皇の後宮には、清少納言が仕える藤原定子、紫式部が仕える藤原彰子というふたりの后がいた。『源氏物語』成立に強い影響を与えた一条と后たちの愛の物語、皇位や政権をめぐる権謀術数のエピソードを、史料と最新の研究成果で紡ぎ上げる。第29回サントリー学芸賞受賞。
朝日選書
「過去の克服」と愛国心
朝日新聞取材班
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
世界各地で自国の「負の経験」を未来にどう活かすか、その試みが始まっている。「『帝国』の記憶」「真実と和解」「愛国心再考」をテーマに、海外の過去との向き合い方をルポルタージュ、内外識者へのインタビューを交えた朝日新聞「歴史と向き合う」企画、後半分の単行本化。愛国心に関する世論調査結果、歴史をもっと深く知りたい人のためのブックガイドも充実。貴重な戦時中の史料群「富士倉庫写真」をカラー口絵で紹介。
朝日選書
天才論
茂木 健一郎
1000円(本体価格)/1100円(税込価格)
「万能の天才」と言われるレオナルドだが、天才はみんな万能だ。あらゆる方面に高い能力を発揮する人物、凡人には「ひらめき」としか表現できない発想をする人物を、人は「天才」と呼ぶ。「ひらめき」は単なる突飛な思いつきではなく、世界に対する人並みなずれた理解に支えられた合理的なものだ。特定の能力だけが突出していても、創造的な業績にはつながらない。天才に学んで、天才に近づくには?
朝日選書
検定絶対不合格教科書 古文
田中 貴子
1400円(本体価格)/1540円(税込価格)
教科書検定の弊害は、歴史教科書の問題だけではない。「日本古典文学の愛の伝道師」を自認する研究者が、検定教科書と教育現場での古文指導がはらむ問題点を鋭く分析。「伊勢物語」「枕草子」「平家物語」など教科書で人気の素材を新たな視点から読み直すとともに、「仰臥漫録」「金色夜叉」など、検定教科書にはぜったい収録されない作品で、新しい「教科書」をつくる刺激的な試み。
朝日選書
スターリン、ヒトラーと日ソ独伊連合構想
三宅 正樹
1400円(本体価格)/1540円(税込価格)
20世紀でもとりわけ激動の時期であった、1939年からの2年間。世紀のこの転換点にいたスターリン、ヒトラーを惹きつけた4カ国連合構想とはなんだったのか。なぜ潰えたのか。現代史第一人者が本邦初、独ソ決裂の瞬間を描く。豊富な資料に綿密な分析を加え、アジアの中のロシア、リーダーのいない日本、現代に通じる隠された世界外交の真実を浮かび上がらせる。
朝日選書
ハリウッド100年のアラブ
村上 由見子
1400円(本体価格)/1540円(税込価格)
9・11以後、世界の関心を集めるアラブ世界について、私たちが知っている多くは、ハリウッド映画からの知識だ。ハリウッドが発信するアラブ像はグローバルスタンダードとなっている。『アラビアのロレンス』『アラジン』『シリアナ』など。しかし、そこに描かれているアラブとは、ハリウッド=米国の考える「こうであるべきアラブ」なのではないだろうか。「ハリウッドが描かなかったアラブ」を読み解く試み。
朝日選書
ミカドの外交儀礼
中山 和芳
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
14歳で位についた明治天皇は、1868年、化粧し、お歯黒をつけた和装で初めて外国人と会う。次々と開国日本を訪れる外国の賓客に天皇はどのように接し、欧米人の目にミカドはどのように映ったのだろうか。中国皇帝と天皇の対応の違いは近代日本にどういう影響を与えたか。儀礼用調度から欧米に学びつつ整えなければならなかった手探り皇室外交。内外の資料を駆使し、図版多数で辿る近代史。
朝日選書
「がんをくすりで治す」とは?
丸 義朗
1200円(本体価格)/1320円(税込価格)
がんが見つかったら手術、は常識だ。しかし、がんの正体がわかってくるにつれて、切らずに「くすりで治す」ことの意味も高まっている。手術と違って身体に大きな負担をかけない、従来の抗がん剤と違って副作用が少ない、がんの根本的な原因に働きかけてすべてのがん細胞を撲滅する、「がんをほんとうに治すくすり」。がんを患う人の身体も心も癒す究極のくすりは、どこまで現実のものになっているのだろう。
朝日選書
昆虫にとってコンビニとは何か?
高橋 敬一
1200円(本体価格)/1320円(税込価格)
深夜のコンビニは、明かりに引きつけられた昆虫にとって繁殖の場でもある。昆虫にとって船や飛行機は分布を広げる手段だ。人家はある種の昆虫にとって格好の住処。戦争で荒れ果て、放置された土地を好む昆虫もいる。人間が便利で心地よい生活のためにつくってきた装置は、環境をつくりかえ、多くの昆虫を絶滅させてきた。でも、それだけではない。時に対立し、時に共存する「文明と昆虫」の思いがけない関係。
朝日選書
和解とナショナリズム
若宮 啓文
1300円(本体価格)/1430円(税込価格)
アジアとの和解が進んだ「村山談話」から11年。いまだ繰り返される謝罪と「妄言」。日本の政治が戦後アジアとどう向き合ってきたのか、保守本流の吉田・岸から安倍までを丹念に検証する。「歴史認識」が内外ともに最大の政治課題の今、テキストとしても最適。
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