明治の日本で、欧米文化を地方に配る配電盤の役割を一手に引き受けた東京。中心を歩いた「本郷散歩」。東大の担った役割とは――。夏目漱石の「三四郎」をテキストにして、東京の成立の玄妙さを考える。登場人物に「日本は亡びるね」といわせた漱石に対し、著者は深い共感を寄せる。執筆したのはバブルの崩壊が進行中の時代で、筆者も同じことを考えていたのだろう。ラストの三四郎池の場面では、釣りをする少年との会話が印象に残る。
★のネット書店は、在庫のない場合や取扱いのない場合があります。
ご注文はお近くの書店、ASA(朝日新聞販売所)でも承ります。